2007年3月24日土曜日

2台の車

2007/03/24 最近はLegacyに乗って感動することが多い。

長年手塩に掛けてきた愛車99.0Jettaととっかえひっかえ乗っていると、いろいろな差が見えてくる。
2.8Lの排気量を持つVR6の低回転からのレスポンスと、ゴーカートちっくなワイルドなハンドリングが毎日楽しみだったのだが、2.5GTのパワーと路面の荒れたマンハッタンを破綻なく走れる乗り心地は素直に素晴らしいと思ったのだ。
Legacyより70万円高く、50PSアンダーパワーな05 AudiA4 2.0Tクアトロを買わなくて良かったとさえ思える。(この直噴ターボエンジン超スムーズだけどね)

ただ2.5ターボのパワーフィーリングはNAにはない独特のもので、シフトダウンをサボって2000rpm付近から全開にしたときなど、伸びたゴムに引っ張られるような加速をする。過給のかかっていない低回転時はただの圧縮の低いパワーのないエンジンなので、アクセルを踏んでも思ったよりも加速しない。そこでシフトダウンせずそのまま踏んでいると、少し経って過給がかかってから強烈な加速を始める、まるでピンピンに引っ張られたゴムが一気に縮むかのように。
乗り始めてすぐは、この特性によって加速後半では思っていた以上に加速してしまうことがあった。まあハイプレッシャーターボの宿命なんだろうけど所詮慣れの問題だし、なんだかんだ言ってもパワーがあるのは無いより明らかにいい事だ。
このリニアリティをある程度犠牲にしてまで絞り出す強烈パワーは、排気量据え置きとの前提ならば、ハイプレッシャーターボでなければ得られないものだろう。ただこのリニアリティのなさは、アクセルワイヤのないドライブバイワイヤによって助長されているのかも知れない。
いずれにせよ明確なパワーバンドが存在するハイプレッシャーターボをキビキビ走らせるためには、小刻みなシフトチェンジが欠かせない。この車のMTはベストとは言えないが、ショートストロークだし、Jettaの02Aトランスミッションや95Legacyなどより明らかにいい。十分にシフトが楽しいレベルだ。
ただ大排気量NAなら、低回転からレスポンシブでリニアなパワーフィールと強烈な加速が両立できるだろうから乗ってみたいのも確か。近所のインフィニティディーラーにある、04 S4AVANT V8 4.2Lの試乗を目論んでいたのだが、行ってみたらすでに売れていた。さすがS4、日産系ディーラでもすぐに売れたか。

ところで、過給の効いた2.5GTの加速を味わってしまうと、今までパワフルだと思っていたJettaのVR6が、パンチが足りないように感じてしまうから人間の感覚とはゲンキンなものだ。パワーに対する感覚は、全くもって絶対的なものではなく、比較対象によって変わってしまういい加減なものなのである。今まで強く不満に感じていなかったことも、とっかえひっかえ乗ってみると強烈な違和感となり、我慢できなくなってしまうのだ。
果たして2台車を持つことは幸福なのか不幸なのか。なにはともあれLegacy 2.5GTという優れたパッケージのセカンドカーを持ったことによって、Jettaのカム交換や、RECAROの超低シート化、ショートシフトの投入など、今まで踏み込まなかったエリアのModificationを行うのきっかけとなったのは確か。優れたライバル(比較対照の出現)によって、結果的にJettaの完成度がより高まった訳だ。

Legacyは間違いなくいい車なのだが、USAでは残念ながらビジネス的には芳しくないのも事実。3万ドルカーとしてはAudiのような上質感(超滑らかなエンジンや乗り心地、高級感のあるインテリア)が不足していると思う。(あくまでUSAのお金持ち顧客に対してね)
いくら1/4マイル(USAのゼロヨン)加速がAudi A4 2.0TやBMW325より速くても、3万ドル以上出す裕福層はゼロヨンなんぞやらんだろう。そんな車じゃないよ、と言っても価格的に比較対照としてドイツのプレミアムカーも入ってくる。
ただSUBARUのAWDは実績に裏打ちされた非常に信頼性の高いもので、トラクションのかからない雨の上り坂発進や雪道での安心感は言うまでもないが絶大だ。FFではハンドリングも含めて到底太刀打ちできない。そのため、雪の降るNew England地方やコロラドなどでは実はSUBARUは良く売れている(OutBackが圧倒的に多いが)。
雪の降らない地方でも売るためには、ドイツプレミアムのエッセンス(走りの伴った高級感)を身に付けられるかがキーだと思うが、それとは正反対のビジネスをしている豊田と提携した今となっては残念ながら望み薄かも知れない。新しい森社長はSUBARUの持ち味である「走り」はさておき、低コストで一般大衆向けのつまらない車に興味があるととれる発言をしているようだしね。いまだに油圧パワステを使い続けるSUBARU車のハンドリングは、あまり走りを重視しないコンシューマーレポート誌からも高い評価を得ているのだが。。 

まあミニバンやSUVに乗る一般ユーザーにとっては「ハンドリング?何それ、食べられるの?」程度の関心しかないだろうしね。
日産が迷走しつつある今、日本で骨のある車をつくれそうなのはSUBARUとMAZDAくらいだと思うんだけどな。

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